pixiv本垢が凍結されました+今後の活動について(FANBOXアーカイブ)
注: この記事はpixivFANBOXの投稿をアーカイブさせたものです。
pixivFANBOXにて本記事をご覧いただき、誠にありがとうございます。
ナヲシダ社のナヲシダです。
日頃より多くのご支援をいただき、創作に集中できる環境をいただいていること、心より感謝申し上げます。
さて、このたび私のpixiv本体のメインアカウントが、pixivガイドライン違反を理由に凍結されました。
既に一部ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、今回の投稿については、非公開措置が取られる可能性を承知の上で、あえてガイドラインに抵触する形で投稿したという、特殊な経緯があります。
本記事では、なぜそのような投稿を行ったのか、どのような意図と背景があったのか、そしてこの出来事が何を意味し、今後どんな影響を持つのかについて、丁寧にご説明いたします。
当記事が、制度と向き合おうとする他の表現者の方々にとって、「語ること」「応答を求めること」の意味を考えるための一助になれば幸いです。
少々長くなりますが、よろしければ最後までお読みいただけましたら幸いです。
1:なぜわざとガイドラインに違反したのか?
前提として、私はアカウント凍結になった今もなお、pixivを敵と見なしてはいませんし、敵対的になろうとは思っていません。
むしろ、「この問いにどう応じてくれるだろうか」という希望と信頼の一端を持っていました。だからこそ、応答を一方的に排除してきたという事実が、より強く私の倫理構造にショックを与えたために、この記事を書くに至りました。
今回、私がpixivのガイドラインに違反する投稿をあえて行ったのは、単なる挑発や反抗ではなく、どうしても語らなければならない重要な問題があったからです。
その問題とは、現在係争中の「猥褻図版頒布等公証請求事件」という裁判で問われている、刑法175条(わいせつ物頒布罪)の制度運用の正当性に関するものです。この裁判では、私の運営する個人サイト「Nawoshida Corporations」と、同サイトに掲示された「無検閲表現に関するポリシー」が、実際に裁判所に証拠資料として提出されているという現実的背景があります。
そして現在、裁判の構図は原告側に有利に進んでおり、勝訴すれば日本国内での無修正わいせつ表現は合法化される可能性が極めて高いと考えられています。そうなれば、そもそもにpixivが取り扱う各種ガイドラインの性器修正に関する記載は自動的に空文化するものとなります。
そのような状況において、私は作品のわいせつ性やガイドライン違反のリスクをあらかじめ自覚した上で、「そもそも、今この時点でガイドラインが恐れているものは本当に違法か?」という問いを投げかけるために投稿を行いました。
この行為は、「ただ無修正を出したかった」からではありません。「それでなければ表現できない理由があったからこそ、その責任を自覚して引き受けたうえで行った行動」です。
だからこそ、pixivという創作空間でこそ、この問いを立てることに意味があると考えました。
◯投稿内容の倫理的な責任の一貫性
私が投稿に添付した画像、そして裁判の証拠資料として提出された個人サイトの内容は、確かに露骨な表現を含んでおり、一般的に「わいせつ」と判断される可能性のあるものでした。しかし私は、そのリスクや違法性を事前に自覚した上で、FANBOXという年齢制限機能のある環境で、明確に同意を求める形式を整えたうえで投稿を行いました。
この判断は、私自身が運営しているサイトに掲示している「無検閲表現に関するポリシー」に基づくものです。そこでは、「なぜ無修正でなければならないのか」「誰かを傷つけないためにどのような配慮をしているのか」といった点を、倫理的責任として明示し、構造的に示しています。
私にとって表現とは、「自由だから何をしてもいいもの」ではなく、「なぜその表現をせねばならなかったのか」を自分で引き受ける覚悟と、それにともなう倫理が必要不可欠な行為です。
今回の投稿もまた、その一貫した姿勢のもとで行ったものです。
わいせつ性を有する表現であることを前提としたうえで、「その形でなければ語れない」必然性と配慮を丁寧に構築し、その上でpixivガイドラインに反することすら自覚しながら、「ガイドラインとはなにを守っているのか?」という問いを投げかける、倫理的な行為として実施したものでした。
◯裁判の文脈と投稿の法的背景
今回の投稿には、単なる創作表現や個人的な主張を超えた、明確な法的背景があります。
私が創作・公開している無修正のわいせつ図版と、それを掲載している個人サイトは現在、先に言及した通り刑法175条(わいせつ物頒布等の罪)の制度運用の適正性を問う行政訴訟において、正式な証拠資料として提出されています。
この裁判では、「わいせつとは何か」「その判断基準と運用に構造的な正当性があるのか」という根本的な問題が問われており、私の作品とポリシー文書は、倫理的責任を持って頒布されている表現の具体例として位置づけられています。
つまり、今回pixivに投稿した内容もまた、無修正でなければ成立しえなかった表現の一部として、司法の場で実際に扱われているものです。
私がpixiv上でそれを再掲したのは、「このような表現を社会や制度はどう受け止めるべきか?」という問いを、より広く社会に届けるための行為でもありました。
なお、pixivのテンプレート通知で触れられていた警察庁・インターネット・ホットラインセンター(IHC)などの公的機関から、私のサイトに対して現時点で一切の警告・削除要請・摘発は届いていません。裁判でも、その合法性と倫理性が前提とされ、明示的に問題視されていない事実があります。
このことから、私は法的にも倫理的にも問題のない内容であるとの確信を持ち、pixivにおいても同様の主旨で投稿しました。
たとえガイドライン上は形式的に違反と見なされる可能性があっても、「今、制度と社会に問うべき価値のある表現」であるという文脈と責任のもとで行った投稿だったことをご理解いただければ幸いです。
2:pixivによる処分の様子
ここまでの前提を踏まえた上で、実際に起きたpixivによるアカウント凍結処分の経緯について整理しておきます。
まず、私がpixivに投稿した内容は、明確にガイドライン違反となる可能性があると自覚したうえで、「制度の矛盾と倫理的責任を照射すること」を目的とした投稿でした。

投稿後、わずか4分で作品が非公開化されるという即時の対応がなされたため、私はその理由と対応の意義についてpixiv事務局に丁寧な問い合わせを送りました。この時点では、「本件は明らかにガイドラインの根拠そのものに踏み込む問題を含んでおり、何らかの内部検討、あるいは上位部署へのエスカレーションが行われるのではないか」という最低限の誠実な対話を期待する気持ちがありました。
なぜなら、今回の投稿は一見すれば規約違反に該当するものでありながら、その背景には「すでに制度的に無力化されているガイドラインを、なぜ機械的に適用するのか?」という極めて公共的な問いかけが存在していたからです。

しかし、返答は一切の文脈を考慮しないテンプレート文での定型的なものでした。私の主張や裁判に関連した説明、表現意図などについては完全に無視され、機械的・形式的な運用方針の繰り返しだけが返されました。

そして最終的には、今回の投稿のみならず、過去に投稿した複数の作品も「ガイドライン違反」として一括して処分の対象にされ、メインアカウントの凍結という最も重い処分が下されるに至りました。
その中には、「一般的な修正基準に照らしても、特に極端とは言えないレベルの修正が施されていた投稿」も含まれており、pixiv事務局側が過去投稿を再精査したというより、「都合よく拾い上げて処分根拠とした」印象を受ける対応であったことも否めません。
この一連の流れから見える構造的な問題は、 pixiv側は、倫理的責任と法的文脈を伴った「問い」を対話の対象とすることを放棄し、あくまでガイドラインという形式ルールの絶対化に依拠し、表現と制度の関係性に対して提起された構造的問題を機械的処理によって排除しようとしたことだと言えます。
この対応は、一企業が「営利と保身を優先した」結果と見れば合理的である一方で、企業理念や、創作を支援する場として掲げている価値観とは明らかに矛盾する姿勢であると考えます。
すなわちこれは、「ユーザーからの真摯な問題提起には応じない」「制度的に再考が必要な事案であっても、例外なく排除の対象とする」という姿勢を明確に表明した瞬間であり、ガイドラインが内包している制度的限界や崩壊を示す重要な事例になってしまったのです。
3:利用者の真摯な問いが企業に無視されることの、pixiv自身への影響
私が今回もっとも強く感じたのは、この一連のやり取りが単なる一利用者への対応にとどまらず、pixivというサービス自体の理念や信頼性に深く関わる問題だったということです。
私が投げかけた問い――「すでに法的脅威が崩れている状況で、なぜガイドラインを今も絶対視しなければならないのか?」という呼びかけに対し、pixiv事務局は一切の個別応答もなく、対話の姿勢も見せず、最終的にはアカウント凍結で終了させました。
pixivはこれまで、「創作活動を、もっと楽しくする」「多様な好きを受け容れよう」といった理念を掲げ、数多くのクリエイターにとっての表現の場であり続けました。しかし今回の対応は、その理念が実際には機能していないことを露呈し、企業姿勢そのものの空文化と信頼喪失を招いたものと受け止めています。
創作空間において重要なのは、ただ一律にルールを適用することではありません。表現とは何か、なぜその表現が必要だったのか、という文脈や意図を丁寧に扱う姿勢こそが、創作支援を掲げるサービスとして最も大切にすべきことだと私は考えています。
今回のように、司法判断というガイドラインよりも遥かに高位の根拠を持って制度の矛盾を照らす問いに耳を傾けず排除するという対応は、長期的に見ても重大な影響を及ぼすでしょう。たとえ裁判により無修正表現が合法化されたとしても、pixivがガイドラインをそのまま維持し続ければ、実際には「合法であるにも関わらず禁止される場」が温存されてしまうことになります。
それは、制度改革の時流に背を向ける姿勢であり、結果としてより柔軟で倫理的な競合サービスへとクリエイターが流出する未来を招くことは、ほぼ確実です。
この記録は、まさにその構造的な兆候を示すものであり、pixivがいかにして「ユーザーからの信頼を取り戻す機会」を自ら逸したかを、歴史的証拠として示すものでもあります。
余談:今後の活動域について
pixivメインアカウントが凍結されてしまった以上、Xでの活動と「Nawoshida Corporations」での投稿が中心になると思います。
なお、支援サイトとしてはFANBOXもしばらく使い続けるものの、最終的にFantiaやci-enなどの競合他社への乗り換えを考えていますので、準備が整い次第アナウンスをさせていただこうと思います。
なお、FANBOXに関しましてはライフラインとして活用している関係上凍結された場合の損失が極めて大きいため、予防措置として投稿をすべて削除しています。投稿物のほとんどは自身のサイトに移転させる予定(この際全コンテンツを一旦無料化・アーカイブ化させるつもり)です。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
今後ともナヲシダ社をどうぞよろしくお願いいたします。